EHD and Electrostaic Propulsion Devices
電気流体力学と静電気力による推進装置

EHD推進機のホバーリング(空中における静止)について


2022年 6月10日
2022年 10月1日 追記
2023年 8月1日 追記


キーワード; 金属の分極、電荷、静電容量、電界、大気イオン密度、弱電離プラズマ
Keyword; EHD, Electrostaic, Propulsion, Charges, Capacitance, Polarization effect in Asymmetrical Metal Structure, Plasma


ここでは、EHD推進デバイスのホバーリング(空中での静止)について述べます。
装置はただ電圧印加のONとOFFを行っただけでは、上昇と下降しかしません。

達成したい目標は、EHD推進デバイスを任意の空間に滞空(ホバーリング)させることです。
EHDデバイスでは、できるかどうかわからないかなり困難なことです。私が知る限り、達成した人はいないでしょう。
羽根突きドローンだったら、プロペラの回転速度を遅くしたり早くしたり、ちょうど自重とつりあった回転速度が存在し、その周辺の回転速度でESCでコントロールできるんですが。。。今回はそうはいきません。


原理について、再考します。
浮上力の発生に関与しているのは、基本的に電界と電荷であり、今現在明らかになっていることは、金属板に電荷をためると非常に異常な現象(つまり浮上力)が生ずるということです。

では、同じ物体(金属体の装置)に電荷が蓄積されている部分とされていない部分を設けてはどうか?
それで、スイッチを入れることで電荷が蓄積されていない部分に電荷を蓄積すると、浮上力のコントロールが可能となります。



それで、浮上力と重力の力積の足し算(仕事量=力 x 時間)をちょうど0にすれば、ホバーリングが実現できと推察されます。




2022.10.1 追記

上記の考えが正しいことを証明するため、実証試験を行いました。
以下、高度制御の実験結果です。CW出力テスラコイルで駆動するEHDデバイスにおいて、高さコントロールに成功しました。

方法として、CW出力テスラコイルの発振振幅をPWMでコントロールしました。
具体的には、テスラコイルの自励発振回路の制限抵抗の値を2値に変化させ、以下のようなイメージ



図、CW回路の出力電圧イメージ  横軸:時間、縦軸:CW回路の出力電圧

で、縦軸を出力電圧とした場合にPWMを利用して出力電圧を上記のように変調しました。

パルス繰り返し周波数: 3−10Hz 
  この繰り返し周波数は、CW回路の時定数を考慮した上限となります。

Duty: ここでは、0.1としました。 これを変化させることで高度が変化します。
FETを使用して回路をON、OFFして抵抗値を変化させました。
ゲートの入力信号には、パルス発生装置を用いました。

P1はEHDデバイスの重量と浮上力が釣り合う状態、P2は完全に浮上力がデバイスの重量を上回る状態です。


図 ホバーリング制御

うかないおもりの状態と重力に対して浮く状態を繰り返す。



図 ホバーリング時の高さの変化



2023. 8.1  追記
高度制御の追加実験について


図 高度の制御実験
高度の制御実験 動画

パラメータ 
装置サイズ 40 cm ここでは三角形
パルス繰り返し : 10Hz
Duty: 適当   FETでのON・OFF制御


EHDデバイスの飛行高度の制御実験を行った結果、デバイスを任意の空間に滞空させることに初めて成功しました。
つまり、EHD推進デバイスがある空間位置に固定(ピン止め)された状態となりました。
このホバーリング状態が、等価的に装置にかかる重力加速度が0となる状態でしょうか。

複数のEHDデバイスを試験しましたが、良い結果が得られたもののみを示します。 
EHDデバイスが上空に飛んでいかないように3本のワイヤで固定しますが、一度最大の高さまで上昇させて、そこからパルス高電圧印加に切り替え、高さを下げていきます。EHDデバイスの高さはほぼ一定となります。少し左右、上下に揺れていますが。また、机の上からゆっくり上昇させることもできました。

CWの高電圧を印加している場合、上昇のみであり、この様なホバーリングは不可能です。浮上の原理に係わる話で、ちょうど浮いた状態を維持できる電圧が存在しないようなのです。電圧が低いと左右に揺れて不安定になり落下します。



実験が非常に難しかった点
小型のEHDデバイスは、安定性がないので大型のEHDデバイスを使用しました。安定となるようにEHDデバイスの構造も工夫しました。テスラコイルの高電圧出力がFETの個体の性能で少しばらつきます。出力レベルで浮上するかどうかが決まりますが、高さを制御するには工夫が必要です。
 出力のパルス繰り返し周波数に関しては、3Hzから20Hzを試験しましたが、繰り返しが遅くても早すぎてもだめなようです。


参考文献

Taku Saiki, “Control of Altitude and Acceleration in Direction of Gravity for Ehd and Electrostatic Propulsion Devices”, viXra.org e-Print archive, viXra:2308.0123, 2023 Aug. 18th, 8page. https://vixra.org/abs/2308.0123